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遺言書で遺留分を侵害された!?遺留分侵害額請求の5つの疑問に答える

【ケース】

父が亡くなりました。生前遺言を書いていました。遺言書を確認すると遺産のほとんどを兄が取得する内容でした。法律上、私は何か主張できないのでしょうか?

【解 説】

1.遺留分侵害額請求ってなに?

兄弟姉妹以外の相続人と代襲相続人には、遺留分という権利があります。
遺贈等がなされ、遺留分が侵害された場合には、遺留分侵害額請求をすることができます。
注意が必要なのは、兄弟姉妹には遺留分がないということです。
たとえば、亡くなった方がお兄さんで、その方に配偶者も子も親もおらず、弟や姉や妹だけが相続人であったとしましょう。この場合、亡くなったお兄さんが「全財産を姉のA子に相続させる」という遺言を遺していたとしても、弟や妹には遺留分がないので、遺留分侵害額請求はできません。

2.遺留分侵害額請求はいつからできるの?

遺留分侵害額請求権は、相続が開始して、遺留分が侵害されている場合に発生します。このため、相続が生じる前に請求をすることはできません。遺留分侵害額請求ができるのは相続が開始してからです。
一方、遺留分の放棄は、被相続人の生前でも家庭裁判所の許可を受けて行うことができます。

3.遺留分侵害額請求はどうやってやるの?

「遺留分侵害額の請求をする」という意思表示をすることにより行います。意思表示をどうやってやるかについては特に決まりはありません。極端な話、口頭でも意思表示をしたことになりますし、LINEなどのチャットでも意思表示にはなります。
ただ、意思表示をしたというのを証拠で残すのが通常です。内容証明郵便を用いるのがよろしいでしょう

遺留分侵害額を具体的に示さないといけないのか?という質問も受けます。必ずしも具合的な金額を示す必要はありません。もっとも、最終的には、具体的な金額を示さないと解決に至らないでしょう。また、支払われない間の遅延損害金を請求するなら、具体的な金額を示す必要があります。

4.遺留分侵害額請求はいつまでにしないといけないか?

遺留分侵害請求の意思表示は、相続開始と遺留分を侵害する贈与や遺贈があったことを知ったときから1年以内にしないといけません。

では、遺留分を侵害する遺言があることを知ったのが被相続人の死亡後15年であったとしても、そこから1年以内なら遺留分侵害額請求が出来るでしょうか?答えは、できません。相続開始から10年以内に行使しなければならないとの縛りもあることに注意が必要です。

5.どうやって解決にもっていくのか?

まずは、当事者で話し合いをするということが考えられます。
しかし、それが難しい場合には、家事調停を申し立てます。

家事調停の形式は、遺留分侵害額請求調停遺産分割調停がありますが、遺留分侵害額請求の対象となる処分行為によりどの調停を選択するか変わってきます。いずれの調停も相手方の住所地の家庭裁判所または当事者が合意で定める家庭裁判所に申し立てます。

遺留分侵害額請求の対象が、全遺産の包括遺贈や特定遺贈(相続させる遺言)、贈与の場合は、遺留分侵害額請求調停となります。そして、調停が成立しない場合は、地方裁判所に民事訴訟を提起することになります。

一方、遺留分侵害額請求の対象が、割合的包括遺贈(あるいは相続分指定遺言)である場合には、遺産分割調停手続きとなり、調停が成立しない場合には審判手続きになります。

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