相談内容
現在、私はさいたま市に住んでいます。5年前に東京家庭裁判所の調停手続で離婚しました。その時、養育費の取り決めをしました。元夫はしばらく養育費を払っていたのですが、最近4か月ほど払ってもらえません。履行勧告とか履行命令という言葉を聞きましたが教えてください。
回答
1.はじめに
家事事件手続法上、①履行勧告という方法や、②履行命令という方法があります。ただし、養育費や婚姻費用について調停で合意したり、審判で命じられたりした場合に限られます。
2.履行勧告について
まず、履行勧告について説明します。
裁判所は、審判や調停で定められた義務の履行状況を調査して、義務者に対しその義務の履行を勧告することができます。ご相談のケースでは、養育費の取り決めも調停でしたというケースです。このため、東京東京家庭裁判所に履行勧告をするよう申し出ることができます。
手数料はかからず、口頭でも申出ができます。弁護士に依頼しなくてもご自身でできると思います。
裁判所は、勧告の前に元夫を呼び出したり文書で問合せをしたりして調査をします。電話をすることもあるようです。そのため、勧告がでればそれに従うことはある程度期待できるでしょう。ただ、「勧告」ですので強制力がないというところが難点です。
3.履行命令について
次に、履行命令について説明します。
義務者が義務の履行を怠っている場合に、権利者が求めることで、家庭裁判所が義務者に対して相当の期限を定めてその義務の履行を命令することができます。こちらは申立書を審判や家庭裁判所に提出し、収入印紙500円を貼付するほか、義務を定める審判または調停をした裁判所の定める郵便切手(郵券)を納める必要があります。ご相談のケースでは、調停をしたのが東京家庭裁判所でした。そのため、東京家庭裁判所に申立書を提出する必要があります。履行命令と履行勧告とでは、異なるところがあります。その中でも、相談者の方にとって大きな違いといえば、制裁があるかどうかです。履行命令では、正当な理由なくその命令に従わない場合、家庭裁判所が10万円以下の過料に処することができます。この点で、履行命令は有用な方法と言えるでしょう。
4.依頼できる?費用は?
履行勧告や履行命令は、ご自身でもできるかと思います。書式も裁判所のホームページでダウンロードできます。そのため、私の事務所では、履行勧告や履行命令だけをお受けすることはしていません。申立書の書き方等を30分5,500円(税込)の法律相談の中でご説明し、ご相談者の方のサポートをするということでしたらお役に立てると思います。また、離婚事件をご依頼いただいた方につきましては、希望があればアフターフォローで履行勧告や履行命令の手続をさせていただいております。
※上記の相談内容は創作が含まれており、実際の相談とは異なります。